内部統制構築支援
近年の企業における不正・不祥事は、適切なリスク管理が確立されておらず、また、コンプライアンス体制が整備・運用されていないなど適切な内部統制が整備されていないことが一つの要因です。不正・不祥事の発覚は、損害賠償等の一時的な損害だけでなく、レピュテーション低下によるビジネスチャンスの逸失などの長期的な損害につながります。適切な内部統制の構築は今や企業の義務となっています。
当事務所では、会計監査人として内部統制監査に従事した経験及び不正調査業務の経験を活かしたアプローチにより、企業の内部統制に関する構築・評価・最適化支援サービスを提供しています。企業の業務効率化と内部統制の有効性のバランスを併せ持った内部統制の対応を支援致します。
- 財務報告に係る内部統制の評価範囲決定資料作成支援
- 内部統制監査計画の作成支援
- 業務フロー、業務記述書、RCMの文書化支援(内部統制上の課題抽出を含みます)
- 内部統制監査担当者の評価支援
- ITに係る情報システム管理規程及び関連手順書の作成支援
- 各種文書化ツール、内部監査支援ツールの提供
- 内部統制プロジェクト実行支援
- 企業グループの内部統制・グループガバナンス向上支援
内部統制の基本的枠組み
内部統制は、企業目的を達成するために欠かせない仕組みであり、経営者には、内部統制を構築するとともにその有効性と効率性を維持する責任があります。2007年2月15日に企業会計審議会から公表された「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」によれば、内部統制とは、次の4つの目的を達成するために企業内のすべての者によって遂行されるプロセスとされています。
内部統制の目的 | 内容 |
業務の有効性・ 効率性 |
事業活動の目的の達成のため、業務の有効性・効率性を高めること |
財務報告の信頼性 | 財務諸表及び財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある情報の信頼性を確保すること |
法令等の遵守 | 事業活動に関わる法令その他の規範の遵守を促進すること |
資産の保全 | 資産の取得・使用・処分が正当な手続・承認のもとで行われるように、資産の保全を図ること |
内部統制を構成する基本的要素として、「統制環境」、「リスクの評価と対応」、「統制活動」、「情報と伝達」、「モニタリング」及び「ITへの対応」が挙げられています。これら6つの要素が経営管理の仕組みに組み込まれて一体となって機能することで、上記の目的が達成されます。
基本的要素 | 内容 |
統制環境 | 統制環境とは、組織の気風を決定し、組織内のすべての者の統制に対する意識に影響を与えるとともに、他の基本的要素の基礎・基盤となるものです。 |
リスクの評価と 対応 |
リスクの評価と対応とは、組織目標の達成を阻害する要因を「リスク」として識別し、分析・評価するとともに、そのリスクへの適切な対応を行う一連のプロセスをいいます。 |
統制活動 | 統制活動とは、経営者や部門責任者などの命令・指示が適切に実行されることを確保するために定める方針・手続をいいます。権限や職責の付与、業績評価や職務の分掌などの広範な方針・手続が含まれます。 |
情報と伝達 | 情報と伝達とは、必要な情報が識別・把握・処理され、組織内外や関係者相互間に正しく伝えられることを確保することをいいます。特に、必要な情報が関係する組織や責任者に、適宜、適切に伝えられることを確保する情報・伝達の機能が不可欠です。 |
モニタリング | モニタリングとは、内部統制の有効性・効率性を継続的に評価するプロセスをいいます。モニタリングにより、内部統制は常に監視・評価され、是正されることになります。 |
ITへの対応 | ITへの対応とは、あらかじめ適切に定められた方針・手続を踏まえ、業務の実施において、組織内外のITに適切に対応することをいいます。特に、組織の業務内容がITに大きく依存している場合や情報システムがITを高度に取り入れている場合等には、内部統制の目的を達成するための不可欠の要素となります。 |
内部統制の限界
内部統制は万能ではありません。内部統制は、次のような固有の限界を有するため、その目的の達成にとって絶対的なものではありませんが、各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものです。
- ⇒ 内部統制は、判断の誤り、不注意、複数の担当者による共謀によって有効に機能しなくなる場合がある。
- ⇒ 内部統制は、当初想定していなかった組織内外の環境の変化や非定型的な取引等には、必ずしも対応しない場合がある。
- ⇒ 内部統制の整備及び運用に際しては、費用と便益との比較衡量が求められる。
- ⇒ 経営者が不当な目的の為に内部統制を無視ないし無効ならしめることがある。
なお、下記のWebサイトも適宜ご参照ください。